絵画シリーズ作品
KESHIKI(景色/ミクスドメディア)
2000年より継続している本シリーズは、「タブローにおける景色概念の視覚的再構築」を主題とした実践的な研究です。画面上では、炎やアクリル絵具、石膏などを用いた物理的かつ偶発的な動作によって、滲みや質感を含む独自の絵肌が構築されます。これらの絵肌は、鑑賞者の内的な記憶や感覚に触れ、情景を想起させる契機となることで、「見立て」の行為を喚起します。
シリーズ作品 けしきー火の領域
本シリーズは、支持体としての木材を彫削し、さらに細部を炎によって成形することで、偶発性と作家の意図との相互作用を積極的に作品に内包させる試みです。削り跡や絵具の滲みといった物質的要素を通して観者の感覚に働きかけ、個々の記憶や文脈に基づく解釈を促します。
版画シリーズ作品
KESHIKI(景色/コラグラフ)
凹版技法によって刷られた用紙には、版の深い凹凸が物理的に転写され、意図を超えたインクの滲みや色彩の変化、さらには用紙の歪みが画面にダイナミックに現れます。インクの色味や粘度、プレス機の圧力といった要素を都度調整しながら、同一の紙に対して100回を超える刷りの工程を重ねることで、紙自体が厚みを帯び、素材としての存在感を強めていきます。その表層には陶磁器における「景色」にも通じる、偶然性と物質性が交錯した独自の景色が立ち上がります。
インスタレーション
旅硝子
「旅硝子」プロジェクトは、自然に削られたビーチグラスを旅人に見立て、その形や来歴から生まれる想像を促します。整然と並ぶ硝子は、長い時間を内包しながら、観者の「拾う」行為によって偶然の出会いを生み、さらに旅を続けます。この移ろいゆく関係性には、東洋的な無常観や「景色」的なものの見方が通底し、静かに共鳴しています。